「外部の視点を取り入れたからこそ、今の私がある」企業と二人三脚で行う6次産業化とは?

印象的な笑顔の女性のパッケージに詰められているのは、フレッシュパクチーペースト「PAKUCI SISTERS」。千葉県八千代市でパクチーを栽培する立川あゆみさんが、レストランと共同開発した商品です。

採りたてのパクチーをその日のうちに、ペーストにし、チーズ、アンチョビ、オリーブオイルなどを絶妙なバランスで配合しています。

商品開発のためのクラウドファンディングにも挑戦し、70万円近い資金を集めました。実は、立川さんの商品開発の伴走をしたのが、一次生産者向けの6次産業化やブランディング支援などのサービスを提供する、株式会社MISO SOUP

立川さんは「MISO SOUPがなかったら今の私はない」とまで言い切ります。立川さんとMISO SOUPの絆はどう生まれたのでしょうか? その物語を探りました。

 

髪も自転車も緑に! 「一目でパクチー農家」と分かる見た目にこだわり

 

ー就農の経緯を教えてください。

もともと、両親はこの土地でお米やニンジンなどを栽培する農家でした。アパレル会社のデザイナー、フラワーアレンジメント教室、飲食店経営などを経て、2016年に就農しました。就農のきっかけは、高齢の両親が高額な機材の買い替えを検討しながら、懸命に土地を守ろうとしている姿に感銘を受けたことです。

 

 

ーパクチーを選んだ理由はなんでしょうか。

パクチーという特殊な野菜で挑戦して、他の生産者の方たちに存在をアピールしようと思ったんです。農業を始めたのが42歳と人より少し遅いスタートだったので、昔からニンジンやお米を作っている人には、経験では勝てません。だから、パクチーでチャレンジすることに決めたんです。

就農当時はとにかく「何をやっているのか一目で分かる人」になりたくて、当初髪の毛や納品に行くための自転車を緑に統一していました。何か商談に行くときには必ず緑。もしかしたら、勝負できる作物であれば、どんな分野でもよかったのかもしれません。

ー今は個人店への直接販売などをされているとのことですが、販路開拓はゼロからされたのですか?

はい。普通にお店に食べにいって、パクチーメニューがあったらすかさずコンタクト。返信が来なくても諦めずに、友人に紹介してもらって、お客さんになっていただいたところもありますよ。店長会でパクチーへの思いを語りました。お客さんになっていただいている飲食店には、自分でも足を運んで、パクチーを消費して(笑)。そうやって拡大した直接販売のお店が、8社程度あります。

 

ロゴからリーフレット、クラウドファンディングまで! 企業と取り組む商品開発

 

ー2017年に商品開発をされました。

はい、今販売しているのは、パクチーペーストです。より気軽にパクチーを味わってもらうきっかけづくりをしたいと思って商品開発に取り組みました。なかでも、紀伊国屋さんに置いているような商品づくりをしたくて。ある程度高い価格帯のもので、というところでペーストを選びました。採りたてのパクチーに、チーズ、アンチョビ、オリーブオイルなどを配合してペーストに仕上げました。野菜スティックやクラッカーにつけて召し上がっていただけます。千葉県船橋市のレストランと共同で商品化しました。10種類ぐらい作ったんですよ。いろんな人に試食してもらって、チーズの入りの「Basic」という種類が一番最初にできました。

 

PAKUCI SISTERS。ロゴは立川さんの似顔絵だ。

 

ー6次産業化を支援する、株式会社MISO SOUPさんとの出会いは?

出会いは展示会でした。当時、商品はできあがっていたのですが、パッケージができていない状態で。最初はサイトとパッケージデザイン、リーフレットを作っていただこうと思っていたんですけれども、そのなかで「より多くの人に知っていただくために、クラウドファンディングをやらないか」という提案をMISO SOUPさんにいただいて。そのために必要な写真撮影やページの運営までサポートいただきました。目標額の50万を上回る金額を集めることができたんですよ。

PAKUCI SISTERSという名前も、MISO SOUPさんに名付けてもらったんですよ。ラインナップをもっと増やしていってもいいようにということで、名前をつけたんですよね。

ーデザイナーをされていた立川さん。ロゴ作りはご自分でもできる部分というのはあったのではないでしょうか?

デザイナーをやっていたから余計なんですけれども、自分で作ると、自分の作りたいものに走りがちなんですよ。もし自分で作っていたら、自分の顔のロゴにはしていなかったと思います。企画のときに、MISO SOUPさんが私の顔をベースに、5パターンぐらいロゴを作ってくださったんですよ。子どもたちにも聞いてみたら好評だったので、決めました。自分の発想だと自分の好きなものになりがちだけれども、客観的に見ていただいていいところを大事にしたいなと思って。

ー外部の人の視点があるからこそできたロゴということでしょうか。

そうですね。クラウドファンディングのリターンとしてTシャツも作ったんですけれども、120枚ぐらい売れたかな。イベントTシャツも作って、それも100枚ぐらい売れていたかな。デザインの力ですね。MISO SOUPさんがいなかったら、今の私はないと思っています。

 

ー今の、立川さんのパクチーへの思いとは?

まだまだパクチーと向き合いきれていないような気がしています。お花の先生をやっていたんですけれども、レッスンをしていたらパクチーの栽培が十分できていなかった、というのがあって、先日パクチーの栽培一本に絞りました。子どもと一緒ですよね。どれだけ愛情をかけられるか。

ー今後の展望について教えてください。

やっぱり、農業をやっていて「この土地だからおいしくできるんだ」と感じているんです。だから、この土地や地域を絶やさないことが私の今の一番の目標です。まずは地域にとことんまで向き合ってみて、地域の人にもっと信頼されるようになる。

「使う人がいなくて困っている土地を貸したい」と思ってもらえるようになりたいです。やっぱり大切な土地を貸すわけですから、いつも畑に出ている人でないと不安ですよね。いつでも作業をしている姿を、皆さんに見せる。そのうえで、地域の商材を見つけたり、地域の魅力を発信できるような、「地域の仕事を取ってくる役割」も視野に入れています。

 

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