「子どもたちの笑顔あふれる持続的な社会を」 できる.agriが農業×ITで目指すこと

2017年8月29日、川崎市産業振興会館で行われた、かわさきIoTビジネス共創ラボ「かわラボ」発足記念セミナーの場で、できる.agriプロジェクトのスタートが発表されました。

当日、発表を行ったのはプロジェクト実行委員会にて代表を務めるルートレック・ネットワークスの 代表取締役社長 佐々木伸一。日本マイクロソフトが主催する「IoTビジネス共創ラボ」の川崎版「かわラボ」の「農業×ICT」ワーキンググループ(WG)発足についての説明と合わせ、できる.agriの具体的な活動や目指すことを紹介しました。

 

失敗できない農業の世界に、挑戦しやすいソリューションを

 

まず佐々木が紹介したのは、国内外において農業が抱える課題の違いについて。日本では栽培データを管理していない農家が多く、長年にわたって経験と勘による農業が続けられてきました。しかし、高齢化による担い手不足が深刻化している今、熟練農家の栽培技術を伝承していくことが求められるといいます。

一方、海外に目を向けてみると、水の枯渇と肥料による環境汚染が深刻な問題になっているとのこと。例えば、生活用水の70%が農業に活用されている現状は、今後人口が増えてより多くの食糧が必要になったとき、水の枯渇問題をさらに深刻化させる要因となります。つまり、少ない水で収穫量を増やすことが最大の課題となっているのです。

佐々木は、これらの課題を解決するためルートレックが開発したのが自律型点滴かんがいシステム「ゼロアグリ」だと続けます。ゼロアグリは、農業で最も経験が必要な「水やり」と「肥料やり」を、センサーから得られたデータを用いて最適化/自動化するソリューション。もともとネットワーク機器の開発に取り組んでいた佐々木は、農家の方々を意識して改良を重ねたポイントについてこのように語りました。

「農家の方々はITの世界と異なり、新たな投資による失敗が1年間の売上に大きく響く。保守的で当たり前なんです。センサーを多く設置して、気象情報などと融合したアウトプットを出すことも考えられますが、変数が多すぎてうまくいきません。私たちはセンサーを少なくし、価格を抑えることで、1~2年でお金を回収できるシステムにすることを重視しました」

 

ゼロアグリの概要

 

「子供たちの笑顔があふれる持続的な社会を」

 

佐々木はゼロアグリをはじめとしたソリューションを活用してIT農業をさらに普及させるため、異業種企業との連携の必要性を感じたことから同ワーキンググループ、そしてできる.agriの立ち上げを決意しました。

できる.agriは農業および生産者が抱える課題をITの力で解決するためのプロジェクト。ルートレックを含む9社で実行委員会を結成、8月29日に運営をスタートしました。

 

満席となったセミナー会場

 

プロジェクトでは、ITの活用や六次産業化などに挑戦している農家の方々をモデル事例として紹介。ITを活用したいと考えているけれど、「何をすれば/どこから始めるか」と考えている方々にとって役に立つコンテンツをインターネット上で配信します。

また、モデル事例として紹介した農家の方々と実行委員会のメンバーで、全国でのサポート・キャラバン活動を展開します。事例の紹介だけにとどまらず、同じ農家だからこそ共感できる悩みや、具体的なノウハウを相談できる場をつくる予定です。

「実行委員会に参加いただいた企業には、できる.agriを通して発信していただき、一緒に農業のパラダイムシフトを起こしていけたらと思っています。これを実現することで、子どもたちの笑顔があふれる持続的な社会になることを望んでいます」

できる.agriではこの発表をスタート地点に、IT農業の可能性を切り拓く農家、企業、団体などの活動をこれからも発信していきますので、ぜひご注目ください。

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