「仲間が増えたことが一番の収穫」インターネット上の資金集めで、農福連携事業強化

茨城県つくば市にあるごきげんファーム、地域と密な関係を築きながら障害のある人たちが働く農場です。地域の耕作放棄地を使い、年間100種以上の野菜を作り、野菜セットを販売している同農園は2011年に創業。現在では様々な障害を持つ人たち100人以上が働いています。

このごきげんファーム、クラウドファウンディングやITを使った顧客管理にも力を入れています。特にクラウドファウンディングの活用は、農福連携事業の確立・強化につながったと語ります。

ITツールを活用し、「障害のある人たちもごきげんに暮らせる社会」に向かって挑戦を続けるごきげんファーム。農場長の伊藤文弥さんにお話を伺いました。

 


 

障害者と地域の接点をつくる

 

伊藤さんがごきげんファームを設立したのは大学生のとき。就労支援の一環として、障害を持つ人たちと一緒に農業に取り組んでいます。地域で管理できる人のいなくなった耕作放棄地を活用して、年間100種以上の野菜を栽培しています。

ごきげんファームが販売しているのは、農薬や化学肥料をいっさい使用していない野菜セット。お客様は地元の人が8割を占めます。

そんなごきげんファームが目指すのは地域と密接な農園。秋の収穫祭、冬の餅つき、夏の流しそうめんに保育園の子どもたちとのニンジン収穫など季節に関連したイベントを定期的に行っています。

障害者と地域の接点をつくりたい、と思っています。障害者との接点を持てば、協力したいという思いを持ってくださる方が多いんですよね。イベントに来てくれた人、野菜を買ってくれた人……。接点をもてば応援してくれるんです。地元に直接野菜を販売する理由のひとつですね。地元の人のサポーターを増やすために、野菜というツールは最適だと思っています。

 

 

そう語る伊藤さんが障害者の課題を知ったのは、大学生の時に参加した議員インターンシップでした。「障害」というテーマに取り組み、福祉施設の賃金が低いことに衝撃を受けたといいます。障害者の方々がきちんと稼げる福祉の事業をつくりたいと考え、ごきげんファームを立ち上げました。

転機が訪れたのは、事業を立ち上げて3年目のことでした。「お金より友達や相談相手、安心して暮らすことのできる場所が欲しい」という、障害者の声が届いたのです。働くこと以前に、障害を持つ人たちが地域で暮らす基盤ができていなかったことが分かりました。

働く場所やお金以外にも大切なことがたくさんあることに気づき、事業の進め方を変えていったのです。このことがきっかけで、地域の人たちとのつながりを作っていきたいと思い、野菜も地元の人たちに販売することに決めました。

現在では、地域の人たちに野菜栽培の指導を受けながら、昔ながらの有機農業の方法を受け継いでいます。

 

 

クラウドファウンディングで農福連携事業強化

 

そんな地域との取り組みを可視化しようと、今年秋にインターネット経由で不特定多数の支援者から資金を集める「クラウドファウンディング」という取り組みに挑戦しました。

2017年1月に始めた稲作で、生産から流通まで一貫して取り組もうとしているごきげんファーム。お米の乾燥・選別・精米に必要な機械の購入資金を集めるためのクラウドファウンディングに挑戦したのです。

地域に必要とされるように活動してきたつもりですが、本当に地域の人がそう思ってくださっているのか分からないですよね。でもクラウドファウンディングでなら、どれぐらい必要とされるのかが、支援者の数として可視化されます。そこに向き合うことでやり方や考え方を変えていきたいと思いました。良い結果も悪い結果も受けとめたいと思って挑戦したのです。

 

 

結果、100人以上の方から支援を受けることができました。「支援者の仲間が増えたことが一番の収穫」と伊藤さんは語ります。クラウドファウンディングに挑戦したことで、やりたいことや、やるべきことも整理されたといいます。

 

 

普通の農家さんはお客様や地域とのつながりがほとんどないので、クラウドファウンディングを通してつながりをつくることができるのも魅力ですよね。保育園や小学校など、他のジャンルとのコラボレーションができたらおもしろいかもしれません。それだけでも農業の価値が上がるのではないでしょうか。

クラウドファンディングのメリットは、資金調達だけではなく、地域につながりを増やすこと。それによって、本当の意味での「農福連携」実現に近づくことができた――伊藤さんの言葉からはそんな思いがにじみ出ていました。

 

農作物も、顧客管理も地域との関係づくりに活かす

 

ごきげんファームでは、有機栽培野菜を多く取り扱っています。その背景について、伊藤さんは次のように語ります。

農業は、意外と付加価値をつけやすいのではないかと思っています。有機栽培で育てられた野菜を食べたいという方は、今後も一定数残るのではないでしょうか。そう思うのは、有機栽培の作物を(そうでない作物の)倍の値段で継続して買ってくださる方もいらっしゃるから。そういう付加価値をつけていく方向で勝負していきたいですね。

そんな有機野菜を好むお客様との関係も、ITツールによって支えられています。例えば、googleが無料で提供しているWebアプリ、スプレッドシート。Exelと同じようなリストやグラフを作成することができ、表計算も可能です。複数人で同時に閲覧・編集が可能であるため、業務でのデータ共有には最適だといいます。

隔週で注文をする方が多い有機野菜セットは、細かい顧客管理が困難です。そんなとき、スプレッドシートは活躍します。野菜の配達先や、お金を回収すべきお客様を一目で確認できるよう、スプレッドシートで一元管理しています。これらのスムーズな顧客管理ひとつひとつが、地域での信頼につながるのです。

クラウドファウンディングや、スプレッドシート。これらのITツールの活用が、きめ細やかな有機農業栽培を支え、地域とつながる農福連携の実現に一役買っているのです。

ごきげんファームが取り組む新しい農福連携事業への挑戦は、まだまだ続いていきます。

 

 

そんな伊藤さんが登壇するトークセッションが1月24日、栃木県で行われます。生産者の皆様が抱える課題解決のヒントをお届けするために、「生産と資金調達編」と題したトークセッションを開催いたします。

日頃、聞きたくても聞けなかったITと農業の融合や、そのやり方。また、自分でもできるのだろうか?などといったさまざまな疑問や、これなら自分でもできるかも!というヒントを得に来ませんか?

 

■日程
1月24日(水)16時~18時半(開場15時45分~)
※終演後、別会場にて交流会あり(参加希望者のみ/会費制)

■場所
栃木青年会館コンセーレ 第一会議室
栃木県宇都宮市駒生1丁目1番6号(地図はこちらから)
電話番号:028-624-1417

■対象
栃木県内外の農家様 定員15 名程度

詳細・お申し込みはこちらから!

【1月24日(水)開催】できる.agriセミナー@栃木県「農業とITでできること ~生産・資金調達編~」

記事内でご紹介した、伊藤さんのクラウドファウンディングはこちら!(募集期間は終了しています)

https://camp-fire.jp/projects/view/49920

 

新プロジェクトも実施中!

https://camp-fire.jp/projects/view/55212

 

活用ツール紹介

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