老舗バルブメーカーとタッグを組む笑農和に聞く、後付けスマートバルブで広がる農業の可能性

できる.agriコミュニティメンバーで、スマート水田サービスを提供する農業ITベンチャー、株式会社笑農和が、農業用資材や合成樹脂製品等の製造・販売を行うマサル工業株式会社との協業を開始しました。

マサル工業の「MH型フィールドバルブ」は、全国の水田パイプライン用バルブとして広く使われており、2019年現在で16万台以上が設置されています。今回の協業により、専用のアタッチメントを介して笑農和の開水路向けのスマート水田サービス「paditch valve 01」を連結するだけで、そのすべてのバルブを簡単にスマート化することが可能に。多くの農業者の負担軽減、生産性向上に役立つのではないかと期待されています。

できる.agriでは株式会社笑農和代表取締役の下村さんに、今回の取り組みが拓く農業の可能性について聞きました。

 

マサル工業との提携で見えた後付けでスマート化するという可能性

農研機構生研支援センターの研究委託事業の中で静岡県を実証フィールドとして検証を行っていた笑農和。静岡県で導入されていた既設バルブがマサル工業社製だったことから今回の協業がはじまりました。

水田の水管理コストを1/2にする事と、普及価格帯を狙った安価なスマートバルブ、水田センサーの開発、またLoRa通信を活用した通信コストの削減を行う研究に取り組んでおり、笑農和として農村に安価なネットワークが入れば、スマート化の敷居は低くなると感じました。

この点在する圃場での水管理コスト増という農業界の課題を解決するための鍵が、マサル工業と笑農和のタッグによって開かれたのでした。

 

水田に足を運ばなくていいことで、より効率的な管理を実現

これまでは実際に水田に足を運ばないと開閉のできなかったバルブ。管理する土地が広くなればなるほど、生産者の負担が増えるのが当たり前でした。

しかし、今回発表されたpaditch valve01を使用すれば遠隔でのバルブ開閉が可能になります。

「使い方は簡単で、水田に水位センサーを刺してマサル工業のバルブのハンドルの代わりにpaditch valve01を取り付けるのみ。LoRA通信という規格を使用するため、農家の事務所・倉庫などの2階屋内にゲートウェイを設置すれば、遠隔での管理・制御が可能になるのです」


この「後付け」の仕組みにより、手元での水位・水温の確認、遠隔でのバルブの開閉が可能になるため、農家さんの負担軽減が期待されます。

また、タイマー機能によって、夜間の水管理のための見回りも必要なくなるほか、水位センサーと連動する事で自動での水管理も可能になります。

「作業がラクになることはもちろんですが、ポイントはなんといっても『後付け』できることです。すでに使っている設備と入れ替えるとなると手間や負担が大きく、二の足を踏んでしまう理由になっていましたが、これなら導入も検討しやすくなります」

日本有数の米どころである富山県を拠点に事業を展開する笑農和だけに、水田に関する農業者の課題感を的確に把握、解決しようとしていることが伝わります。

 

個々の農業者だけでなく、地域全体での品質向上を

その笑農和ですが、今後のサービス展開含め、いったいどのような未来像を描いているのでしょうか。

今回の協業によって農家さんの負担が減るだけでなく、地域全体ににとっての「農業」にプラスの影響を生んでいきたいというのが、下村さんの描く展望です。

 

「水管理を地域一体で制御することで、最適な水管理が行えるだけでなく、地域全体で稲の品質向上に寄与できると考えています。その結果、個々の農業者も潤っていく。その循環の入り口になれるといいですね」(下村さん)

 

老舗企業とベンチャー企業のタッグによって実現される地域農業の発展。ますます目が離せなくなりそうです。

 

【お知らせ】来春発売の「paditch valve 01」に触れられるイベントが12月8日、富山市で開催

2019年12月8日に、来春発売を予定しているpaditch valve 01 に触れられるイベント「paditch summit 2019」が開催されます。実証圃場で使われた農家さんも登壇し、利点や使い勝手など生の声をお届けします。お近くにお住いの方はぜひご来場いただけましたら幸いです。

https://paditch.com/summit2019

 

その他の記事

お問い合わせ